まとめ

アパレルシステムの乗り換え・リプレースのタイミング(替え時)は?

2021/4/8

システム

アパレルの分野でも多くのシステムが提供されている昨今。システムの乗り換え(リプレース)を導入されている企業様・店舗様も多いでしょう。

システムの乗り換えを考えるとき、気になるのは時期や必要なモノ・コト、成功や失敗の事例かと思います。この記事では、これらのポイントをまとめてお伝えします。

システムの乗り換えをご検討中のアパレル関係者様に、ぜひご参考にしていただけたらと思います。

【替え時】アパレルのシステムを乗り換えるタイミングは?

システム

システムを乗り換えるべきタイミングを一覧にすると、下のとおりです。

それぞれ簡潔に解説していきます。

売上が大きく増減したとき

売上が増えれば、より多くの分析を効率的に行う必要があります。現状のシステムでそれができなければ、乗り換えを検討すべきです。

逆に売上が減り「しばらく増える見込みがない」という場合は、ダウングレードすべきケースもあるでしょう。この他「より細かな集計分析が必要になった」などのケースでは、その分析に必要な機能のあるシステムに乗り換えるべきです。

店舗数が増減したとき

店舗数が増えれば高度なシステム、減れば軽度なシステムに乗り換えるのが基本といえます。他店舗の在庫などを見れないシステムを利用している場合、全店舗で情報を共有できるシステムに切り替えましょう。

現時点で全店舗の情報を共有している場合、切り替えでトラブルが起きないよう、特に注意を払う必要があります。

業態が大きく変わったとき

下記のように業態が大きく変われば、必要なシステムも変わります。

  • EC展開を決める
  • EC比率がUPした(UPを目指す)
  • 新たに路面店を展開する
  • 店舗の無人化を進める

一般的なパターンとしては、卸事業を展開していた企業がECで商品を出品するというものでしょう。今まで手を付けていない業種に新たにチェレンジをする際、多くの場合新たにシステム管理をしたい要件が生まれてきます。

また、「業態とともにシステムも変わる」ことは、行政も理解しています。長崎県の業態転換に対する補助金(最大1000万円)も、使い道のトップに「システム導入」を挙げています。

今より良いシステムが見つかったとき

今より良いシステムが見つかれば乗り換えるべきですが、実際の良し悪しは「使って初めてわかる」こともあります。ユナイテッドアローズも、一度契約を解除したアラタナに、再度システム管理を委託しました(こちらの段落で解説)。

特に、初めてシステム導入をしたした企業の場合、システムを用いた業務に慣れた3~10年で管理方法の見直しなどが行われることが一般的です。3年経てば機能や操作性、必要な管理要件も古くなっていることも多く、その際にほかのシステム併せて検討をすることが多いようです。

【課題】アパレルシステムの乗り換えに必要なこと・モノ

システム

システムの乗り換えに必要な要素をまとめると、下の表のとおりです。

期間既存のシステムからの移行にかかる時間
費用機能・既存のシステムに対し、妥当な価格
作業比較検討・テスト導入など
人員入れ替え担当者および、テスト導入時の現場スタッフの協力

それぞれ詳しく説明していきます。

期間:既存のシステムからの移行にかかる時間

以降に要する期間は当然、機能的な要件や、希望する要件により異なります。アパレル向けのシステムですと、数週間から数ヶ月単位で移行に時間がかかることが一般的です。

よってシステム入れ替えの検討は、調査検討段階を含め「半年~1年ほど」期間に余裕をもって行うことが理想的でしょう。データ移行をスムーズに行えるかなど、提供会社のサポート体制も比較するようにしましょう。

例を挙げると、ジャンルは違いますが教育施設向けのICT支援ツールである『コドモン』は、「乗り換え期間の無償サービス」を2種類提供しています。

無償期間現在の契約状況
最大1年間現在のソフトの契約期間が3カ月以上
最大3カ月現在のソフトの契約が「毎月更新」

参考他社システムからの乗り換えキャンペーン|コドモン

無償サービスの期間が決まっている場合、ある程度その期間で完了する可能性が高いといえます。ただ、こうした乗り換えサービスも提供していない企業の方が多いものです。最終的には、期間を推定するにも見積もりが必要と考えてください。

弊社の提供する「アパレル管理自動くん」では、最短2週間からご導入が可能なほか、既存システムからのデータの入れ替えも柔軟にサポートしております。

費用:機能・既存のシステムに対し、妥当な価格

乗り換えも含めて、IT投資額は「売上の1%」が目安とされます。年商1億円なら100万円、10億円なら1,000万円です。この値を最終的な目標とし、新システムの要件を定めることが理想的です。

比較的多いパターンは初期費用が数百万円、保守費用が月額3~10万円などです。費用については完全にケースバイケースとなるため、まずは各社の資料をチェックし、見積もりを数件とっていただくのがベストです。

作業:比較検討・テスト導入など

実作業をベンダーに任せるのであれば、自社の作業は主に下記の4点です。

  • 比較検討
  • 工程チェック
  • テスト導入

一番重要なのは、やはり「比較検討」と「テスト導入」です。比較検討で費用や機能がすべて決まり、テスト導入で「実際に問題を起こさず使えるか」が決まります。

人員:入れ替え担当者および、テスト導入時の現場スタッフの協力

専門の人員は原則不要です。ベンダーと打ち合わせる、チェックを行うという担当者は必要ですが、他の業務との並行でもできる仕事です。

大規模なシステムの導入検討であれば、部門間の要望などをまとめるため、担当者が一定期間専念する必要もあります。また、テスト導入を行う際、管理部だけでなく現場のスタッフにも操作感を確かめてもらうことも必須です。

【事例】アパレルシステムの乗り換え(リプレース)の成功・参考事例3選

システム

アパレルのシステム乗り換えに関する3つの事例を紹介します。2社様の事例は内容をあえてぼかしてご紹介し、ユナイテッドアローズの事例は、日本を代表するアパレル企業のケーススタディとして、正確にご紹介します。

それぞれの事例を、簡潔にご紹介させていただきます。

アパレル業務に特化した高機能クラウドを導入

婦人靴の企画・製造・卸・小売を一貫して行い、多数の店舗を展開されている、とあるアパレルメーカー様の成功事例です。同社は、乗り換え前のシステムについて、下記の課題を感じられていました。

  • CSV出力をできず、分析などを行いづらい
  • リアルタイムで在庫管理をできない
  • システムの画面が使いづらい

しかし、アパレル業務に特化した高機能なクラウドシステムを導入したことで、下記のように業務が改善されたといいます。

  • 商品検索や売上や仕入の追跡をしやすくなった
  • 誤処理の裏づけをしやすくなった
  • その他、在庫管理全般が容易になった
  • 値引きや割引、会計処理がスムーズになった
  • 他店の在庫検索も行えるため、店舗間の連携も効率化した

高機能なクラウドシステムは多数ありますが、アパレル店舗の運営では、やはり「アパレル業務に特化したシステム」が、特に使いやすいものです。現時点で、アパレル特化型でないシステムを導入されている場合、特化型への乗り換えをご検討していただくのもいいでしょう。

SMS経由で会員登録をできるシステムを導入

スマホ

あるメーカー様は、SMSで会員登録をできるシステムを導入。このメリットは、店頭でのお客さまの会員登録がより簡単にできることです。

そそれまでは、QRコードを読み取ってもらい登録を行ったいましたが、スマホを「出す・起動する・QRコードを読み取るのが面倒」という方は多くいらっしゃいました。

  • スマホがなくてもいい
  • 作業をしなくていい(電話番号をいうだけ)

SMSで届いたリンクから、お客様が登録手続きをする必要はありますが、本システムを導入したことにより、会員登録の心理的な障壁をより低くし、多くのお客様を会員として管理することが可能になったとのことです。

自社開発への切り替えで難航(ユナイテッドアローズ)

「自社開発への切り替え」は、もっとも高度な乗り換えです。2019年にユナイテッドアローズがこれに取り組んだものの、難航して元の会社に再委託するという出来事がありました。

元の会社との契約を解除してから、再委託&再スタートをするまでの期間、約2カ月半にわたってサイトが停止。東証1部上場企業であるユナイテッドアローズの実力や資金力をもってしても、自社開発への切り替えが難しいことを、実感できるでしょう。

特に自社で行うことの難しさは、サーバーなどの保守も含めて行わなければならないこと、また、企業自身がブランディングを含め「どんな機能のどんなサイトにしたいか」を決めきれないことにあります。こういった意味では、専用のベンダー等のコンサルティングや提案を受けながら改修を進めることが無難と言えます。

参考ECの開発遅延でサイト停止中のユナイテッドアローズ、ZOZO子会社のアラタナに再委託。何が起きたのか|Yahoo!JAPANニュース

【失敗】システムのリプレースで多い7つの失敗

システム

アパレルも含め、システムのリプレースで特に多い失敗は、下記の7つです。

それぞれ簡潔に説明していきます。

目的が明確でない

乗り換えの目的が曖昧なケースは意外に多いもの。「東京地裁・平成22年12月28日」の裁判でも、それを実感できます。

この裁判では「発注者の目的が曖昧だった」ことで、発注者側が敗訴。要約すると、以下が「乗り換えの目的」でした。

  • 販売・購買業務の効率アップ
  • CRMの基盤作り
  • 社長・役員に会社の全ての業務が正確に見える『見える経営』

3つ目の「見える経営」であれば「どの数値を、どのように見たいのか」を明確にすることが必要です。必要な理由は、指示を明確にするためだけではありません。

なぜその数値、その確認方法なのかを考えることで、「結局何をしたいのか」という本質に立ち戻ります。「細部⇒全体⇒細部」と往復することで、本質が見えてくるのです。

参考そのシステム、何のために導入したのでしたっけ?|EnterpriseZine(翔泳社)

パッケージで容易に選んでしまう

男性

リプレースの検討で、多くの方が最初に思うのは「費用がわかりにくい」ということでしょう。この疑問はもっともなのですが、リプレースは常に「個々の店舗様・企業様」の状況に合わせて行うものです。

あらゆる条件が異なるため、固定された費用やパッケージは「示しにくい」のが現実です。パッケージ化が悪いということはありませんが、パッケージである以上、自社・自店舗にぴったり合うとは限りません。

部門間の連携が弱い

システムは、最低でも経理・販売の2部門にまたがります。自社製造を行う場合、製造にも関わるでしょう。部門ごとに必要とするシステムが異なるため、その擦り合わせ・融合が必要です。

双方の担当者の力量不足

ベンダーの力量不足は当然NGですが、発注企業の側にも一定の力量は問われます(魚市場の板前さんが目利きを行うことと同じです)。ベンダーはお客様の労力を最小にするように努力するものですが、お客様側の能力もあれば、成果は掛け算で大きくなります。

チェック体制がない

不格好経営出典:不格好経営―チームDeNAの挑戦|Amazon

システムの工程チェックは難しく、創業時のDeNAも「システム詐欺」の被害に遭っています。起業の鍵となるオークションサイトの開発が、完成予定日になっても「進捗ゼロ」だったのです。

DeNAではこれがドラマに転じましたが「工程チェックはIT企業でも難しい」ことがわかります。

導入テストが十分でない

導入テスト(ユーザーテスト・UATと呼ばれます)は当然重要です。しかし、日本のシステム開発では、これがおろそかになりがちです。

理由は「後からの修正にベンダーが応じることが多い」ためです。海外では「テストで指摘のなかった修正には追加費用が必要」なことが多く、ユーザー企業もテストを徹底します。

テストを徹底するには、発注者もベンダーも本気で取り組む必要があります。テスト時点では労力が増えますが、代わりにその後は動作トラブルも起きにくく、楽になるといえます。

参考ユーザーテストを軽視しすぎる日本企業の問題点|ITmediaエンタープライズ

導入後の見直しを行っていない

完璧なシステムはなく、導入後に改善点がしばしば見つかります。仮に完璧であっても、事業の状況やシステムの技術は日々変化します。このため、定期的な見直しが必要です。

この点では、導入後のカスタマイズにも柔軟に対応してくれるシステムであればなおよいでしょう。

【教訓】システムリプレースの教訓~旭川医大事件~

医科大出典:旭川医科大学病院|Wikipedia

システムリプレースで特に大きな教訓の1つは『旭川医大事件』です。ここでは、事件の概要と「どのような教訓を得るべきか」を解説します。

概要~現場からの追加要望が膨大になり14億の裁判に~

この事件は、医大の追加要望が膨大になり、NTT東日本と裁判になり、敗訴して14億円の賠償を命じられたというものです。この判決は、最高裁で確定しています(高裁からの上告を、最高裁が受け付けなかった)。

参考【支払額14億超】なぜ、発注者が失敗の「全責任」を負わされるのか?|ダイヤモンド・オンライン

教訓~完璧なシステムは作れない~

ザッカーバーグ出典:Mark Zuckerberg|Wikipedia

医療の現場では、わずかなミスが命に関わることが多くあります。このため、旭川医大の先生方が完璧なシステムを目指されたことは、間違っていません。

しかし、システムの開発では、マーク・ザッカーバーグ(Facebook創業者)の、下記の言葉を肝に命じるべきです。

Done is better than perfect.
(完璧を目指すより、まず終わらせろ)

完璧ではなく、まず「完成・完了」に持っていくこと。その後に改善を重ねて、完璧に近づいていく、ということです。日本でよく聞く言葉に当てはめるとするならば開発は「スモールスタート」、その後継続してブラッシュアップを加えていくのが鉄則です。

【まとめ】システム乗り換えでは「アパレル特化型」を検討すべき

システム

まとめると、アパレルのシステム乗り換えに関して、絶対的な答えはありません。あるなら全社が成功し、全社の成果が拮抗し合うので、結局勝者が生まれないということになります。

答えがない中でも、下記の3点は特に意識すべきといえます。

  • アパレル特化型を候補に入れる
  • 複数社を比較する
  • POSと連携できるものにする(実店舗の場合)

弊社が提供する『アパレル管理自動くん』は、アパレル業務に特化した、高機能なクラウドシステムです。標準で要件に沿う機能を利用できるほか、製品の導入前はもちろん、導入後のカスタマイズにも対応しております。

また、同じくアパレルに特化した『アパレル管理自動くんPOSレジ』と連携することで、店舗運営もよりスムーズに行うことが可能です。

アパレル管理自動くんの詳細は、下記ボタンのリンク先のページで、詳しくご紹介しています。資料も無料でダウンロードいただけますので、システムの乗り換えをご検討されているマネージャー様・担当者様は、ぜひお気軽にリンク先をご覧くださいませ。

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