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【中国のEC市場を席巻するJD.com】中国で一番熱いECサイトの原動力

2018/9/14

上海の画像

年々急激な拡大を続ける中国のEC市場。その巨大市場を席巻しているのが、京東商城(ジンドンショウジョウ)が運営するJD.comです。

ネット通販を開始した2004年からわずか10数年の間に年間流通額は15兆円超に達し、年度ごとの平均成長率は152%を記録するなど、驚くべきスピードで成長を遂げています。

圧倒的な推進力を支えているものは何か。その秘密に迫ります。

中国EC市場の状況

JD.comの画像

(出典:JD.com

まずは中国EC市場の状況を確認しておきましょう。

2017年に三菱東京UFJ銀行有限公司が発表したレポートによると、2016年度の中国のEC市場規模は約23兆元、日本円で368兆円(注:1元を16円で計算)にのぼります。

これは日本のEC市場の実に20倍以上、世界第2位のアメリカと比較しても2倍以上の規模。改めてマーケットの巨大さを思い知らされます。

その中でJD.comは、流通額ではかの有名なアリババグループの天猫(Tmall)次ぐ第2位、直販ビジネスでは天猫を凌いでトップに君臨し、その成長はさらに加速しています。

中国全域をカバーする自前の配送ネットワーク

物流所の画像

JD.comが提供するサービスの根幹を支えているのが、自前の物流・配送ネットワーク。ライバルのアリババグループが、物流会社への出資や配送会社との提携などで物流面をカバーしているのとは対照的な戦略を取っています。

国内に14の物流ベースを構え、配送拠点は何と約7000ヶ所。物流部隊は約6万7000人もの人員を擁します。この物流ネットワークが、午前11時までの注文は当日中に、午後11時までの注文は翌日15時までに届けるという、驚くべきスピード配送を実現しているのです。

さらに無人配送車やドローンによる配送にも着手するなど、時代の一歩先をいく進化を続けています。

背景にあるのは“おもてなしの心”

スーツを着た男性の画像

中国全土をカバーする物流・配送ネットワークを構築するためには、当然莫大なコストがかかります。それでも京東商城が自前にこだわるのはなぜでしょうか。

その背景にあるのは“おもてなしの心”

JD.comがECに参入してからの数年間で最も多かったのは、デリバリーに関するクレームだったそうです。その経験から顧客満足度を高めるには物流や配送の品質がカギになると判断し、2007年より自前の物流・配送ネットワーク着手。約10年かけて現在のシステムをつくり上げました。

また2017年10月にスタートしたラグジュアリーブランドのECプラットフォーム「TOPLIFE」では、商品の梱包を黒の「TOPLIFE」専用箱に統一。黒いスーツにネクタイを着用し、白い手袋を身につけたJD.comの配送スタッフが荷物を直接消費者に届けるなど、注文から「白い手袋」によるラストワンマイルまで、高級感を崩さない一貫したブランドイメージの演出をおこなっています。

すべては顧客満足のため

手をつないだ女性の画像

JD.comは、AR(拡張現実)を活用したネット上で商品を試着・試用できるシステムを実装するなど、最新のテクノロジーを積極的に導入しています。また中国最大のメッセージアプリ「WeChat」や大手SNS「Weixin」のビッグデータをマーケティングに活用し、さらなるサービス品質の向上を追求し続けています。

そしてそのすべてが利益のためではなく、顧客満足のためであることを何よりも大切にしています。

京東商城のビジョンは、「品質とサービスの卓越性に対する確固たる追求を通じて、世界で最も信頼される企業になる」こと。そして「商品を売るだけではなく、最高の顧客体験を提供する」こと。この姿勢が高い顧客満足と信頼を創出し、多数のリピートユーザーを生み続けているのです。

まとめ

日本のお家芸である“おもてなしの心”。実はそれが中国の巨大なEC市場を席巻するJD.comの原動力となっているようです。

私たち日本人が改めて学ぶべき点も多いのではないでしょうか。

 

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