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【着物の新しい楽しみ方】着物のオンラインオーダーメイドサービス「WA TAILOR」とは?

2019/2/8

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和装は古くより脈々と受け継がれてきた、日本が世界に誇る美しい文化です。また伝統的な日本の民族衣装でもあります。しかしながら、現代における若者の着物離れは顕著であり、かつては庶民の普段着だった着物が、今では敷居の高い特別なものになってしまいました。

そんな中、好みの素材や色を選んで自分だけのオリジナルの着物をオンライン上でオーダーできる、新しいサービスが注目を集めています。その狙いや仕組みはどのようなものでしょうか?テクノロジーと伝統の融合によって生まれた、着物の新しい楽しみ方をご紹介いたします。

 

若者の着物離れが止まらない

もはや着物は成人式や卒業式といった一生に一度のイベントでのみ着用する特別な衣服という認識が広く根付いており、若い世代が普段着や正装としての着物を着る機会はほとんどないといって良いのではないでしょうか。

ではなぜ現代の人々は着物を着なくなってしまったのでしょう。考えられる理由の1つは、単純に着るのが面倒だから。着物を身に付けるためには、揃えなければならないものがたくさんあります。帯、帯揚げ、帯締め、帯留め、半衿、伊達襟、襟芯、長襦袢、肌襦袢、裾除け、足袋、草履にバッグ…。どれも着物を着るためにだけに使用する独自の装具で、専門的な使い方をするものばかりです。

また着付け方には厳密なルールがあり、ほとんどの人が自分ひとりでは着付けられないという事実も、現代人の着物離れを助長していると考えられています。

さらに大きな壁となっているのが、和装には多くの費用がかかるという点。化繊や綿で仕立てた着物など、リーズナブルな商品が普及してきているとはいえ、洋装に比べてはるかに多くのコストが掛かることは否めません。きちんとした着物一式を揃えようとすれば、最低でも数十万、高価なものなら数百万かかることも珍しくないうえに、上質な着物や帯であればあるほどお手入れやメンテナンスも必要になってきます。

かつては嫁入り道具の1つであり、着物は資産だと考えられていた時代もありました。しかし生活様式や社会環境が大きく変化した現代においては、着物離れは必然の流れといえるでしょう。

 

着物を着る人を少しでも増やしていきたい

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(出典:WA TAILOR

もっと着物の魅力を知って欲しい。着物を着る人を少しでも増やしていきたい。着物のオンラインオーダーメイドサービスWA TAILORが生まれた背景には、そんな切なる願いが込められています。

運営を手掛けるのは、明治12年創業の染織工房「有限会社安藤孝染工場」と、入れ紋・染抜きなど着物に関する総合的な加工をおこなう関連会社「株式会社染装」。和装文化を守るため、さまざまな取り組みをおこなっています。

「WA TAILOR」のコンセプトは、「今まで着物に興味を持っていたけど初めの一歩を躊躇していたあなたに贈るサービス」。扱う着物は汎用性が高く、フォーマルにもカジュアルにも着られる「色無地」のみに限定されています。心理的なハードルを下げることにより、初めての着物体験を後押しする工夫がなされているようです。

 

伝統とテクノロジーが融合した、新しいビジネスモデル

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(出典:WA TAILOR

オーダーの仕方はいたって簡単。最初から着物一式がセットになっており、オーダーフォーム上で生地の柄や色を選んでいくだけで、難なく自分好みの着物を完成させることが可能です。装具を選択するごとにモニターにシミュレーションが表示されるので、専門の知識が無くても戸惑うことはありません。さらにそれぞれの装具の解説も見られるなど、和装の世界へ足を踏み入れる最初の一歩として、かゆい所に手が届くシステムになっています。

またインターネット上で安心して着物を購入できるよう、生地見本を無料配布するサービスも実施。購入後には染め上がり確認用の生地見本も送付されるなど、細やかな配慮が随所にちりばめられています。

さらに注目すべきは、その価格設定。問屋~小売り~加工という従来の着物の流通の流れを一新し、中間マージンを省くことで、着物一式15万8千円という驚きの価格を実現しています。これも老舗ならではの豊富な生産背景やネットワーク、そして何よりも生産者と消費者を直接繋ぐデジタルテクノロジーがなせる業です。まさに伝統とテクノロジーが融合した、新しいビジネスモデルの好例といえるのではないでしょうか。

 

まとめ

着物のオンラインオーダーメイドサービスは、和装文化の衰退に危機感を抱く生産者たちの切なる願いから生まれた、新しいビジネスのカタチでした。「WA TAILOR」での初めての着物体験をきっかけに、和装がより多くの人々の身近にある生活の一部として浸透していけば、生まれ育った国の伝統と文化を愛し、敬う心がより育まれていくのかも知れません。着物という日本古来の文化を残すための取り組みとして注目です。

 

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